今回は前巻からのエピソードに対しての決着がつくのだが、この物語における強化外骨格対重機の対戦というのは派手さとか清々しさからかけ離れて、泥臭さとモヤモヤしたものを引きずっている。そもそも強化外骨格の乗り手が戦争で片手と両足を失った朝鮮人で、さらにはこの強化外骨格を動かすための外部バッテリーには彼の飼っていた犬が使われているのだ。もちろんこの犬も体のかなりの部分を機械化している。さらには物語の背景となる部分が太平洋戦争における闇の部分が重視されているので、読んでいて爽快感など微塵も感じさせない。弱い人間はとことん騙され、使い捨てられるのだ。
が、その一方で、このエピソードには少しの希望のある結末が付けられていて、それが真実なのかそれとも創作なのか、どちらとも取れる描き方ではあるものの、読後感は悪くない。
史実の中の隠された真実という虚構を描きながらもさらにそこに赤化戦士というさらなる虚構を組み込みこんで、それでいて荒唐無稽な物語にはなっていないところが凄いよなあ。
オビではファイナルミッションと書かれていて、しかも目次を見る限りでは最後の話が「終」となっているので全四巻にて完結なんだろうし、最後のエピソードそのものは完結しているけれども、第一話の冒頭で描かれていたエピソードとのつながりやラスプーチンの孫との決着もついていないので、あくまでこれは第一部が終了であって、しばらくして第二部が始まることを期待しているのだが、果たしてどうなることやら。まあ二巻まで出たところで長いこと中断していたこともあるので、数年ぐらいは気長に待つことにしよう。
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