シュレーディンガーの猫

津原泰水の『瑠璃玉の耳輪』はかろうじて年内で読み終える。続けて堀江敏幸の『ゼラニウム』を読みつつ新しい年を迎えようとしたけれども、結局は妻と一緒にテレビを見ながら過ごしてしまう。
年明けは妻の実家で過ごしたので、エドモンド・クリスピンの『愛は血を流して横たわる』を読んだだけで正月休みは終わってしまう。もう少し積読本を消化することができていたら良かったと思うのだが、今月と来月の新刊情報を見る限りでは、読みたいという本が少ないので古書を買わない限り大丈夫な感じもする。でも今までの経験からすると古書買いをしてしまって大丈夫ではないだろう。
新年早々から暗いことを書いても仕方がないが、妻が病気になって以来、出口の見えない迷路をさまよい続けているような日々を送っている。悲観しているわけではないが、かといって明るい希望を抱いているわけでもない。今年は良い年になればいいなと思いはするが、けっして良い年になどなり得ないことも理解している。生きていて、そして同時に死んでいる。まるでシュレーディンガーの猫のように、悲観と楽観が同時に重なり合った状態というのが今のわたしだ。
こうして文章を綴ることで誰かがわたしの楽観状態を観測してくれればいいなと思う。

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