今年も沢山の本を読んだ。
しかし、未読の本も沢山残っている。
SFが好きだといっておきながら、こんな本も読んでいなかったのか、お前はと言われてしまうそうな本が未読のままだったりする。
そういった本を少しでも消化しておこうとしたせいで、新刊の未読が増えてしまった。
『恐怖』コーネル・ウールリッチ
『砂の中の扉』ロジャー・ゼラズニイ
『わが名はコンラッド』ロジャー・ゼラズニイ
『アプターの宝石』サミュエル・R・ディレイニー
『カリスマ』マイケル・コニイ
『ブロントメク!』マイケル・コニイ
『シュリー号の宇宙漂流記』今日泊亜蘭
『スペース・マシン』クリストファー・プリースト
『宇宙のサバイバル戦争』トム・ゴドウィン
『宇宙軍団』ジャック・ウィリアムスン
『航時軍団』ジャック・ウィリアムスン
『宇宙播種計画』ジェイムズ・ブリッシュ
『果しなき流れの果に』小松左京
『百億の昼と千億の夜』光瀬龍
『花の旅夜の旅』皆川博子
『殺人プロット』フレドリック・ブラウン
『死にいたる火星人の扉』フレドリック・ブラウン
『彼女はたぶん魔法を使う』樋口有介
『初恋よ、さよならのキスをしよう』樋口有介
『小鬼の居留地』クリフォード・シマック
『神経繊維』レスター・デル・リイ
『僧正殺人事件』S・S・ヴァン・ダイン
『天夢航海』谷山由紀
『読者よ欺かるるなかれ』カーター・ディクスン
『脳波』ポール・アンダースン
『コンピュータ・コネクション』アルフレッド・ベスター
名作と呼ばれる部類の物は、未読なくせにどんな内容なのかだいたい知ってしまっていたので、消化試合のような感覚で、読んでいてもあまり楽しめなかった。もっと早く読んでいればよかったと思うのだが、いまさら後悔しても仕方がない。
今年の初め頃、実家の倉庫の整理をする必要があって倉庫内の段ボールに詰められた本の移動をしたのだが、とにかく大変だった。いちいち中身を調べていたら永久に終わらないのがわかっていたので、箱の中身を調べずに移動させたのだけれども、時として誘惑に負けてしまう。開けるなと言われたのに開けてしまったパンドラの気持ちが良くわかる。
で、開けてみると、買った記憶のない本が入っている。
買った記憶がないのだから読んだ記憶はもちろんない。
コーネル・ウールリッチの『恐怖』はその一冊だ。ウールリッチのファンだから有名どころは一通り読んではいたが、ワンランク下がった作品になると買っていない。これは、名作から読んでしまう弊害なのだが、買っていないという自信は確かにあるのに何故か『恐怖』が目の前にある。題名からしてこれは恐怖を覚えなくてはいけないシチュエーションなのか?
信じがたいことだが、自分が買ったに違いない。私がウールリッチファンであることを知った見知らぬ親切な人が、こっそり倉庫に忍び込んで、この本を置いていってくれたという可能性よりも、遙かに高い。自分の記憶の無さを潔く認めるしかない。
もっとも、ウールリッチの未読作品を読んでみたいと思っていた矢先なので、ありがたくポケットに入れて持ち帰ることにした。
しかし、ウールリッチはまだましだった。集英社文庫の『たんぽぽ娘』が出てきた時には自分の眼を疑ってしまった。
何故、この本がここにある。
「たんぽぽ娘」である。買えば、必ず読んだはずなのに、この本を読んだ記憶が無い。わたしが「たんぽぽ娘」を読んだのは「SFマガジン400号」のはずである。それなのに何故か今、わたしの手の中に『たんぽぽ娘』がある。
この本を買った当時の自分を褒めてあげようと思ったのだが、目の前にこの本があったのなら無条件に買っていたはずなので褒めるにも値しない。
幾ら悩んでも仕方がない。『たんぽぽ娘』と同じ箱の中にあった、ジャック・ヴァンスの<魔王子シリーズ>全五巻といっしょにポケットの中にしまった。
<魔王子シリーズ>は買った記憶もあるし読んだ記憶もある。でも再読したかったのだ。
そう思いながら十ヶ月近くが経過し、<魔王子シリーズ>はカース・ガーセンがIPCCから秘密の仕事を依頼されたところだ。
と、書いておきながら、気になって調べたら、「たんぽぽ娘」が掲載されたのはSFマガジン400号ではなく、40周年記念号の525号だったことがわかってさらに驚いてしまった。525号といえば2000年の2月号である。どう考えても、それ以前に読んだという記憶がある。
いったいわたしは、いつどこで、どんな本で「たんぽぽ娘」を読んだのだろうか。
老化という二文字が頭の中をよぎったが、まあいいか。
コメント
リストにある二十数冊はなつかしい本ばかり。わたしは実家に置いていた本は何回かに分けて古本屋さんに売ってしまって,このリストで残っているのはサンリオSF文庫の何冊かのみ,アプターの宝石 は最近読み返しましたが,傑作です。宇宙軍団,小鬼の居留地,神経繊維,脳波などはSFを読み出した頃,40年くらい前に読んだもの。なつかしい本を思い出させていただきました。
私の年代だと、銀背のハヤカワSFシリーズは読みたくても読むことが出来なくなっていた時期だったので、いつか文庫化されることを夢みる日々でした。結局文庫化されないままなので、ここ数年、古書を探して読む日々です。未読だった理由はそれだけじゃないのですけれど。