注文しておいた『統合失調症の治療―理解・援助・予防の新たな視点』が届いたので早速付録のバーチャルハルシネーションCD-ROM版をパソコンで試してみる。
結論からいえば期待はずれだった。CD-ROMの中身は70メガバイト程度の映像データが一つ入っているだけだったのだ。もう少しプログラム的なもので、ある程度ゲーム感覚的に操作して体験出来るものを期待していたのだ。
といっても、普通のパソコンで動かすことが出来るようにした代物なので、仕方がないかも知れない。
というわけで、パソコン上でムービーをただ見るだけなのだが、それでも想像するのと体験するのとでは大違いだった。
起きている間ずっと、自分を嘲笑する声が聞こえ続けているというのは壮絶だ。
幻聴がはっきりと聞こえすぎるているような気もするが、そのあたりは疑似体験の限界かもしれない。しかし、当事者にとっては、幻聴が何を言っているのかはっきりと判別できるのだから、感覚的には、これでおかしくはないのだろう。
妻に見せてれば、違いを教えてくれるかもしれないが、とてもじゃないが、この映像は妻には見せたくはない。
ただ単に、喫茶店に入って、マスターとお客の会話を耳にしているだけの五分程度の時間。自分を嘲笑する声が聞こえるだけで、まったく別の世界になってしまう。
幻聴の正体は自分自身であり、自分自身と会話し続けて心が壊れていく。
妻は、自分の体が自分を壊そうとすることなんて有り得ないでしょうと言ったことがある。しかし、現実は違う。
人の心も体も、バランスが崩れれば、自壊してしまうのだ。
明日は妻の外泊日だ。外泊することで何も問題が起こらなければ、いよいよ退院することが決まる。
ひょっとしたら妻はまた、病院の外へ出ることができたことで、心のバランスが崩れ、私を非難するかもしれない。
先週の外出では、予想しなかった不意打ちだったために、妻に酷いことを言ってしまった。
明日は、非難されることを覚悟して望もう。そうすれば私もショックを受けることもなく、怒ることもないだろう。
神様、どうか私に強い心と強い意志を。
経過報告49
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