僕は英語がからっきし駄目で、原著で読むつもりも今のところは全くないので、海外の本に関しては翻訳されることを願うしかなく、翻訳して欲しいのになかなか翻訳されない本もあれば、翻訳されることなど無いだろうと思っていた本が翻訳されたりと、その都度一喜一憂するのだけれども、今回はさすがに驚き具合が大きかった。
今年に入って論創社の論創海外ミステリは活発化しているようで、毎月一冊以上出版されている。二月に出たフレドリック・ブラウンの『ディープエンド』にも驚いたけれど、ブラウンの残りの未訳長編も翻訳される予定で驚いたのだが、今回の『ロッポンギで殺されて』はまさか翻訳されるとは思いもよらなかった。
僕がこのシリーズの存在を知ったのは都筑道夫のエッセイで、アメリカ人の書いた勘違い日本ではなく日本の描写に関してはわりとまともだという点で、翻訳される可能性はほぼ無いだろうなと思っていたからだ。これが、ソムトウ・スチャリトクルの『スターシップと俳句』並みの異形の日本だったら翻訳される可能性もあったし、ウィリアム・アイリッシュの「ヨシワラ殺人事件」のように作者が有名で短編だったら翻訳される可能性も高いだろうけれども。
しかし、翻訳されたとなったらこれはもう読まないわけにはいかないわけで、さっそく読んでみたところ、これがなかなかおもしろかった。
そもそも、一段組で170ページという薄さなのでテンポよく進む。というかわずか二ページほどの間に死体が現れたり消えたりと矢継ぎ早やにいろいろな出来事が起こるので何が起こっているのか把握するのが大変でもある。しかし、本格ミステリではないので犯人が誰なのかと推理する必用のある物語ではないし、つぎからつぎへと起こる出来事を純粋に楽しめば良いだけの物語なので、必用にして十分でもある。雰囲気としては一時期盛んに翻訳されていたカーター・ブラウンのような軽ハードボイルドそのもので、カーター・ブラウンが好きならばこの本も楽しめるだろうけれど、面白いのは雰囲気だけではなく、事件の真相もなかなかユニークで雰囲気だけの物語だと思っていたら唖然とさせられるし、ハードボイルドだけあって、主人公が最後に取った行動もなかなか非情の世界で抑えるところはしっかりと抑えてあるよなあと感心してしまった。
惜しむらくは、この手の本はペーパ-バックの方が似合うという点だろう。
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