経過報告36

10/10

九時頃まで寝る。
この時間まで寝ているのは久しぶりだ。
のそのそと起き出して洗濯をはじめる。
妻へ持っていく物を用意しながらいつも通りパンとコーヒーの朝ご飯。
で、たいした用事はしていないのに11時近くになってしまう。
12時ぐらいに病院へ着くようにアパートを出る。
顔の腫れが引いていればいいなと思う反面、副作用がひどくなっていたらどうしようと不安になる。万が一のことがあれば病院から連絡が入るはずだから、それが何もない以上、問題は起こっていないはずだと思うことにする。
妻の病室へ行くと四っつあるベッドが全て埋まっている。新たな入院患者さんが増えたようだ。
妻はここ最近と同じく穏やかな表情をしていた。心の中で安心する。
顔の腫れも引いて元通りになっている。
差し入れのパンを差し出すと、お昼を食べたばかりのはずなのにむしゃむしゃと食べはじめる。食欲だけはあるようだ。もっとも、病院の食事に不信感を持っていてあまり食べていないだけなのかもしれない。
私が持っていったペットボトルのお茶以外は水物は飲んでいないようだ。被害妄想はやはりまだ完全に抜け切れてはいないのかもしれない。
口元を見ていても、ジストニアらしい傾向は出ていない。足下を見ていても落ち着いているようなのでアカシジアも出ていないようだ。
おそるおそる、声はまだ聞こえているかと訪ねる。
「入院して一週間くらいしたら聞こえなくなったわ」と妻が答える。
手足のしびれも無くなっているようだ。
ひとまずは薬の調整がうまくいっているらしい。昼の薬が無くなったということも良い傾向だと思う。
しかし、これで安心してはいけない。今のところ、薬が症状を抑えているだけなのだ。服用を止めれば再発してしまう可能性は高い。
妻はしきりに退院したがっている。通院はしっかりするから先生に言って欲しいとねだる。
病識はまだ完全には無いけれども、自分が統合失調症と判断されたのは理解しているようだ。
しかし、統合失調症がどういう病気なのかまでは理解していない。自分の考えが外に漏れてしまうと思ってしまうのがその症状の一つだと言ってみるが、思考が漏れてしまうと考えることが病気なのか、半信半疑で、本当に思考が漏れてしまうことはあり得るのだと思っているのも確かだ。しかし、薬でそれが無くなったということも理解しており、まあ、もう少し気長に待つこととしよう。
帰りに看護師さんが、「本当に落ち着いてきましたね」と喜んだ表情で言ってくれたのがとても嬉しかった。
「統合失調症とわたしとクスリ―かしこい病者になるために」という本を買う。
統合失調症を発症した患者さんがどのようにして薬とうまくつきあうようにしたのかという本だ。
このさき一生飲み続けなければいけないとすれば、それは確かに辛い面もあり、私が代わってあげることが出来るのであればいいのだが、それは無理な相談で、辛いだろうけれども、本人がそれを受け入れて克服しなければいけないのだ。

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