経過報告29

10/3

咳は昨日よりも少し楽になったが、肺炎でも起こしたら見も蓋もないので病院に電話し、診察の予約を入れる。
受付で体温計を手渡されるので、今度は自発的に外のベンチへ。
熱は37.1度。ちょっと上がってしまったようだ。
車の中で待っていってくださいと言われるので、待っていると、看護師さんが問診に来る。
問診後、血液検査をするかもしれないので、このまま待っていてくださいと言われてしばらく待っていると、中に入ってくださいと言われる。今日はすんなりと中に入れてもらった。
で、診断結果、蓄膿症になりかけていると言われる。
さっぱり判らないのだが、何らかの細菌が鼻腔へ入ってしまい、そこで炎症を起こしているらしい。で、当の本人は気づかないのだが鼻水が自動的に喉まで流れ落ちて、喉が防御反応を示して咳が出ているらしいのだ。説明を聞くと納得できるのだが、にわかには信じられない。治るには二週間ぐらいかかると言われる。
蓄膿症で咳が出るってのは初めて聞いた話だ。咳が出ているのにこれは風邪ではありません、蓄膿症ですと言ってもだれも信じてくれないだろう。
処方してもらった薬をもらいに薬局へ。
この間の薬剤師さんとは違う人だったけれども、今回タミフルは……などと言ってくる。
今回の処方にタミフルなんて書いてねえだろ。そんなにタミフルが好きなのか、お前もか。と心の中で言ってみる。
今回処方された薬は四種類。妻は三種類の薬を朝昼晩、寝る前と飲まされて薬漬けだと言っているけど、私の方が薬漬けだ。痔の飲み薬は今は飲んでいないけど、これを入れれば六種類、精神安定剤を入れればもっと多いぞ。
で、その後妻の病院へ。全く持って夫婦そろって病院にお世話になってしょうがないなあ。
受付で先月分の入院費を支払う。詳しい明細書はプラス二百円とのことだったので、追加して詳しい明細書ももらう。
それが終わっていよいよ二日ぶりのご対面だ。
二日ぶりだったのか、薬の効果が出始めてきたのか穏やかな表情だった。
「来てもらって悪いわね」
などと耳を疑いたくなるような優しい言葉を言ってくれる。
目立った副作用もなさそうだったが、手はしびれて箸を持つのが困難らしい。
一ヶ月間は何があっても退院できない事に対してのあきらめが出てきてくれたようでもある。先生曰く、このあきらめが出て初めて治療につながるのだそうだ。
やさしい言葉をかけてくれたものの、やはりまだ、私のことを許してはいないらしく、時々ちょっと非難する。私がこういうことをした事に対して不信感よりも怖さ、いざとなると私はこういうことも平気でしてしまう人間だと思ってしまっているらしい。まあそれは正しい認識なのだが、そういうことをする人間を怖いと思ってしまっているのだ。まあ、それも仕方がないか。
明日は来てくれるのとか、お昼を食べてくるけどまだいてねとか、なんだかんだ言って二日間面会に来なかったことで寂しかったようだ。
食欲が無いらしくあまり食事をとっていないのが心配だが、差し入れで持ってきたスナックバーとかは食べてくれるので、病院食が駄目らしい。
時折、「私が廃人のようになってしまったら病院を訴えて欲しい」とお願いしてくる。被害妄想なのか、それとも病院側の体制になにか問題があるのだろうか。病院側に盗聴とか盗撮とかされているらしいという妄想がまだ残っているので、前者の可能性が高いと思うのだが、このあたりは悩ましいところだ。
砒素中毒になるとどうなるのとか聞いてくるので、被害妄想の方が強い気もする。
最後に妻を抱きしめて、病室を出る。
こんなことは今日だけかもしれない。明日は違うかもしれない。でも、少し希望が見えてくる。
その足で、実家へ。
貸した本を返してもらう為と、妻が母に会いたがっていると言うことを伝える為だけだったが、ちょっとちょっとと言われ結局一時間以上長話。最初は母の話が多かったのだが、途中から私の愚痴モード全開。普段愚痴など言わない私なのだが、愚痴を言いたくなる気持ちがよく分かった。なにも解決などしないけれども、なんとなく気分がすっきりする。聞かされる方は嫌だけどね。でもまあ、相手の話を肯定してやり続けていれば当の本人は満足してしまうんで、今後は愚痴を聞かされたときは内容については深く考えずに肯定し続けてあげよう。
今日は何事もなく一日が終わると思っていたら九時頃に妻の実家から電話がかかってくる。
悪いと思いつつも居留守を使い電話は無視する。
今日は妻が穏やかだったし、愚痴を言って気分も少し晴れた。
このまま今日はいい気分のままで1日を終わりたい。
このくらいは我が儘をしても神様は許してくれるだろう。

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