新潮文庫

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トリツカレ男

悪漢と密偵さんのところで、「きみがぼくを見つけた日」がオードリー・ニッフェネガーの「タイムトラベラーズ・ワイフ」の文庫版であることを知り驚く。文庫化されたら読んでみようと思っていたのだけれども、まさかこんなにも早く文庫化されるとは……、しか...
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撓田村事件―iの遠近法的倒錯

撓田村事件小川 勝己著鬼畜ノワール作家などと言われているせいで、敬遠してきていたのですが、「撓田村事件」を発表したことで、ちょっと気になる作家となりました。それまでの作風とはうって変わっていきなり横溝正史のオマージュともいえる作品を書いたか...
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五瓣の椿

五弁の椿山本 周五郎著いきなり突然山本周五郎です。まあ何の脈絡もなく読み始めたというわけでもなく、くろにゃんこさんの「黒衣の花嫁」の記事を見て、山本周五郎がウールリッチの「黒衣の花嫁」から着想を得て「五瓣の椿」を書いたということ思いだし、そ...
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ぬしさまへ

ぬしさまへ畠中 恵著どうにもこうにも都筑道夫の「砂絵シリーズ」を彷彿させてしまいます。作者が何処まで意識して書いているのかわかりませんが、読み手としては非常に困った問題です。一太郎がセンセー、仁吉と佐助がマメゾー、その他の妖怪達がなめくじ長...
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博士の愛した数式

博士の愛した数式小川 洋子著あえて「あざとい」という言葉を使うこととしよう。80分しか記憶のもたない人間の物語。それだけで自分の琴線に触れてしまう話である。年を取って記憶力に自信がなくなってきたせいも多分にあるのであるが…。それにしても小川...
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黄色い目の魚

黄色い目の魚佐藤 多佳子著作者はこの題名を気に入っているようだし、解説の角田光代もこの本を、表紙と題名にひかれて買ったと書いている。けれども「黄色い目の魚」という題名にさっぱりひかれる物を感じない私の感覚はどこかずれているのだろうか。そんな...
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星新一 二冊

「ふしぎな夢」「天国からの道」出版芸術社から出ていた「気まぐれスターダスト」を二分冊にし、「ショートショート1001」のみの収録されていた6篇を追加した本です。その昔、ベートベンが若かりしころに作った習作を、未発表の「第10交響曲」として演...
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あのころの未来

あのころの未来最相葉月著なんだか新潮社の商売方法にうまく乗せられてしまったような気がする。この本を買ってしまったのは同時に星新一の本が2冊も出たせいで、この本単独で文庫化されていたとしたら買わなかった可能性が高い。で、読んでみると星新一論と...
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触身仏

触身仏北森鴻「凶笑面」に続くシリーズ二作目。相変わらず恐るべき高水準の一冊です、切れ味抜群のかみそりといったところ。どの話も民俗学の解釈とフィールドワーク中に遭遇した事件とが二重写しになるような関係で、民俗学の解釈が行われると、事件の真相も...
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アメリカの鱒釣り

アメリカの鱒釣りリチャード・ブローティガン〔著〕 / 藤本和子訳手強い本でした。口当たりは非常に良いのですが、いざ読み始めると手強いことこの上なしです。この本を読むのはまだ十年早かったのではと思いそうになりました。もっとも、本の方からはお前...
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