講談社文庫

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『誘拐児』翔田寛

同じ誘拐物の岡島二人の『99%の誘拐』の後で読んだせいか、ちょっと分が悪い印象になってしまった。過去にあった誘拐事件とそれから十数年後に起こった家政婦殺しの二つの事件が絡み合う展開なのだが、事件を追うのが、自分は十数年前に誘拐されたのではな...
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『99%の誘拐』岡島二人

岡島二人の最後の作品は『クラインの壷』だが、これは実質的には井上夢人の単独作品といってもいいので、『99%の誘拐』が岡島二人の最後の作品といってもいいのだろう。前にも書いたけれども、僕は岡島二人の作品をほとんど読んでいない。特に、岡島二人と...
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『窓』乃南アサ

『鍵』に引き続いて続編の『窓』を読んだ。続編といっても登場人物が共通で、時系列的に前作の後の話というだけで前作のネタバレ的なものもないし、どちらから先に読んでもそれほど困ることはない。前作の題名は二重の意味があったけれども、今回はそこまでの...
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『虚夢』薬丸岳

刑法三十九条。この小説で扱っている問題は非常にやっかいな問題だ。現実に抱える問題だけでも手一杯なのに、さらにこういった問題にまで関わる必要があるのだろうかといえばそんな必要はないだろうと自分でも思う。しかし、心の病に罹ってしまった当事者の家...
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『ムーミンパパ海へいく』トーベ・ヤンソン

題名だけ見ると、ムーミンパパが海へ行って何か冒険する話のようなものを想像するけれども、海へ行くのはムーミンパパだけではないので、正確にいうならば『ムーミン一家海へいく』になる。しかし、こう書くと海へレジャーをしに行くような話に思えてしまうの...
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『まごころを、君に THANATOS』汀こるもの

前作に比べると世間での評判はちょっと悪いようだが、前作のミステリに関する突き抜けというか挑戦的な部分がアクが強すぎて楽しむことができなかった身としては、今回の方がわりと好みだったりする。といっても、前作以上に注ぎ込まれた水生生物の飼育に関す...
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『カラスの親指』道尾秀介

扱っている題材がコンゲームというせいだろうか、どことなく伊坂幸太郎の小説っぽい感じもする。今までの作品にまるっきり無かったというわけではないが、弱者に対する視線の暖かさが顕著にでているという点もそう感じさせる原因のひとつかもしれない。騙すと...
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『チョコレートゲーム』岡嶋二人

誘拐を扱ったミステリでデビューしたせいで長いこと岡島二人の小説は読んでいなかった。最初に読んだのはコンビを解散した後、井上夢人単独で書いた『ダレカガナカニイル…』で、その次が『おかしな二人―岡嶋二人盛衰記』という始末だ。岡島二人の作品にはス...
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『ムーミン谷の仲間たち』トーベ・ヤンソン

ムーミンシリーズに登場するキャラクターそれぞれに焦点を当てた短編集なのだが、必ずしも主要キャラクターに焦点が当たっているわけではない。なのでいつものムーミンシリーズだと思って読むとかなりがっかりするだろう。最初の話はスナフキンが主役で、長年...
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『増補版 放浪探偵と七つの殺人』歌野晶午

『長い家の殺人』を読んだのはかなり昔のことなので、どんな話だったのか、探偵役の信濃譲二がどんな性格だったのかも忘れてしまった。覚えているのは推薦した島田荘司の言葉ほど凄くはなかったということだけだ。二作目も読まなかったので面白いとまでは思わ...
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