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『ヤオチノ乱』泉仁優一

面白い題材だっただけにもったいないなあというのが読み終えての感想。中心となる物語としては全三巻でまとめきったけれども、二巻目以降が電子書籍のみになってしまったことから想像がつくようにあまり人気がでなかったんだろう。現代を舞台にいまでも続く忍...
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『テセウスの船10』東元俊哉

正直言えば前巻で主人公の他にもうひとり、未来から過去にやってきさせてしまったことで、果たしてこの物語はきれいに収束するのだろうかという不安があった。そもそも主人公自身にしてからになぜ過去に戻ることができたのかという説明はされない。ついつい比...
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『マイ・ブロークン・マリコ』平庫ワカ

webで無料公開されているのをひと目見て、おお、これはと興奮した。それは福山庸治を彷彿させる絵柄だったからだ。福山庸治が新作を発表しなくなって久しい。僕はいまでも福山庸治の新作を待ち望んでいるのだけれども、それもかなわない夢だ。そんなとき、...
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『サマータイムレンダ 8』田中靖規

前巻ではこちらからの攻撃を始めようとして、しかし敵側のほうが一枚上手で、やっぱり今回もダメじゃんとなったところで終わったけれども、その続きがどうなったのかといえばやっぱりダメで、強制的にリセットがかかってしまう。そして主人公の持つ能力がどん...
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『終焉』ハラルト・ギルバース

『ゲルマニア』からはじまった第二次世界大戦敗戦間近のベルリンを舞台とした物語もこの三作目でとうとうドイツの無条件降伏を迎える。前作、前々作は敗戦の色濃い状況とはいえど、舞台はベルリンでナチスのお膝元である。主人公は奥さんが純粋なアーリア人と...
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『ひとりぼっちで恋をしてみた』田川 とまた

北海道に住む女子高生、有紗はひそかに学校の先生に恋をしていた。しかし周りから天然と言われる彼女は恋する先生を傷つけ、そして失恋する。とそこまでならばよくある恋愛物語になるのだが、そこから物語は一気に予想もしない方向へと突き進んでいく。天然と...
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『息吹』テッド・チャン

テッド・チャンの第一短編集『あなたの人生の物語』が出たときにはまさか次の本が出るまでにこんなにも待たされるとは思いもしなかった。もっとも新作が発表されるたびにSFマガジンに掲載されていたので、テッド・チャンの新作をまったく読まなかったという...
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『WHITE NOTE PAD』ヤマシタトモコ

ふとしたきっかけで男女二人の精神が入れ替わってしまった。という設定だけみればそれほど珍しくはない物語なのだが、かなりパターンを外してきている。そもそも入れ替わる男女というのが、17歳の女子高生と38歳の中年男性と年齢差がありすぎる。さらにい...
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『屍人荘の殺人』今村昌弘

評判に違わぬ面白さではあったものの、手放しで傑作だったかというと微妙なところで、面白いけれども疑問に思う部分が多少あるというところだ。今回はわりとネタバレ気味に書いてしまう。もっともネタバレといってもこの作品における衝撃的な要素に関してなの...
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『テセウスの船 9』東元俊哉

主人公が過去に戻り、過去に起こった事件を未然に防ぐことによって現在を変えようという点では、三部けいの『僕だけがいない街』を彷彿させる。しかし『僕だけがいない街』では過去に戻ることのできるのは自分の意思とは無関係とはいえども主人公のみだったの...
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