エドガー・パングボーン著 / 遠藤 宏昭訳
二年ほど前からあちらこちらの出版社で海外のSF小説が翻訳出版されるようになったのですが、それ以前から地味ながらもSF小説を出してくれていたのが扶桑社です。
サンリオSFの撤退と同時に絶版となってしまったキース・ロバーツの「パヴァーヌ」、エドガー・パングボーンの「デイヴィー 荒野の旅」、ウォルター・テヴィスの「地球に落ちてきた男」…。出す本も地味な内容の物ばかりですがいずれも評価は低くありません。
派手さは無いものの、いわばいぶし銀のような名作。しかし罰当たりなことに「デイヴィー 荒野の旅」は今まで積読でした。
核戦争から三百年ほど経過した未来のアメリカが舞台。教会が力を持ち、戦争以前の書物は禁書扱いで、時折発掘される戦争以前の道具も教会のお祓いという名の審査を経なければ持つことが許されない。そしてなによりも、ミュー(奇形児)の出産は依然として多く、ミューは必ず殺さなければいけない決まりであった。
そんな世界に生まれた28才の主人公デイヴィーが14才から始まった放浪の旅を回想するという内容なのだけれども、時折現在の話に切り替わったり、デイヴィーの友人達が勝手に注釈を書き加えたりと一筋縄ではいかない筋運びとなっています。かといって、読んでいて混乱するわけではなく、むしろ世界設定を理解しやすい構成となっています。
デイヴィーとその仲間達による改革は失敗し、都落ちを余儀なくされ、戦争じたいも無くなってはおらず、奇形児の出生率も下がってはいないという暗い未来なのだけれども、読んでいて絶望感というものは漂ってきません。それはデイヴィー自身が絶望的な目にあっても絶望せず、未来を信じている、個人としては絶望しきっていても、種としての人類には希望を失っていないからであって、主人公デイヴィーの存在こそがこの話最大のSF的設定なのかもしれません。
サンリオSFの撤退と同時に絶版となってしまったキース・ロバーツの「パヴァーヌ」、エドガー・パングボーンの「デイヴィー 荒野の旅」、ウォルター・テヴィスの「地球に落ちてきた男」…。出す本も地味な内容の物ばかりですがいずれも評価は低くありません。
派手さは無いものの、いわばいぶし銀のような名作。しかし罰当たりなことに「デイヴィー 荒野の旅」は今まで積読でした。
核戦争から三百年ほど経過した未来のアメリカが舞台。教会が力を持ち、戦争以前の書物は禁書扱いで、時折発掘される戦争以前の道具も教会のお祓いという名の審査を経なければ持つことが許されない。そしてなによりも、ミュー(奇形児)の出産は依然として多く、ミューは必ず殺さなければいけない決まりであった。
そんな世界に生まれた28才の主人公デイヴィーが14才から始まった放浪の旅を回想するという内容なのだけれども、時折現在の話に切り替わったり、デイヴィーの友人達が勝手に注釈を書き加えたりと一筋縄ではいかない筋運びとなっています。かといって、読んでいて混乱するわけではなく、むしろ世界設定を理解しやすい構成となっています。
デイヴィーとその仲間達による改革は失敗し、都落ちを余儀なくされ、戦争じたいも無くなってはおらず、奇形児の出生率も下がってはいないという暗い未来なのだけれども、読んでいて絶望感というものは漂ってきません。それはデイヴィー自身が絶望的な目にあっても絶望せず、未来を信じている、個人としては絶望しきっていても、種としての人類には希望を失っていないからであって、主人公デイヴィーの存在こそがこの話最大のSF的設定なのかもしれません。


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