佐藤 亜紀著
酒見賢一の「後宮物語」は受賞したことで日本ファンタジー大賞の方向性を変えてしまった、という話はよく耳にする話で、実際読んでみると一行目から面食らってしまう物語であり、確かに納得してしまうのですが、では第一回日本ファンタジー大賞に「後宮物語」が応募されていなかったならば主催側が期待するようなファンタジー小説が受賞してその後も同じ系統の物語が受賞し続けていたのだろうかと思ってみると、そうでもないような気がします。
いつかは賞の方向性をねじ曲げてしまうような作品を応募する人が現れて、今のような形になったんじゃないかと、「バルタザールの遍歴」を読み終えて、そう感じたのであります。
あらすじを読んで、今ひとつ興味が湧かなく今まで読み過ごしてきたのですが、ある意味それは正解で、当時これを読んでもその面白さはわからなかったかも知れません。
主人公は双子の兄弟なのだが、父親は一人分の名前しか用意しなかった。しかしそれも無理もない、なにしろ体は一つしかなかったからだ。
というわけで、彼らは一つの体に二つの人格を有しています。ひとりはバルタザール、もう一人は父親は用意してくれなかったのでメルヒオールと自分で名付けます。
ファンタジーとしての要素はごくわずか。しかしこの本の面白さはそれ以外の部分であって、主人公達の没落と遍歴、そして悲惨な目にあってもめげない主人公達のお気楽ぶりが読んでいて楽しいのです。そもそも第一部が「転落」第二部は「転落の続き」なのだから笑えます。
いつかは賞の方向性をねじ曲げてしまうような作品を応募する人が現れて、今のような形になったんじゃないかと、「バルタザールの遍歴」を読み終えて、そう感じたのであります。
あらすじを読んで、今ひとつ興味が湧かなく今まで読み過ごしてきたのですが、ある意味それは正解で、当時これを読んでもその面白さはわからなかったかも知れません。
主人公は双子の兄弟なのだが、父親は一人分の名前しか用意しなかった。しかしそれも無理もない、なにしろ体は一つしかなかったからだ。
というわけで、彼らは一つの体に二つの人格を有しています。ひとりはバルタザール、もう一人は父親は用意してくれなかったのでメルヒオールと自分で名付けます。
ファンタジーとしての要素はごくわずか。しかしこの本の面白さはそれ以外の部分であって、主人公達の没落と遍歴、そして悲惨な目にあってもめげない主人公達のお気楽ぶりが読んでいて楽しいのです。そもそも第一部が「転落」第二部は「転落の続き」なのだから笑えます。
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