ジーン・ウルフ著 / 浅倉 久志訳 / 伊藤 典夫訳 / 柳下 毅一郎訳
ウルフ自身によるまえがきが凄い。
なにしろ自分の娘の詩を載せたり、読者はまえがきをほとんど読まないという出版社の言い分を元に、「島の博士の死」という短いお話を載せたりとやりたい放題。しかしアメリカの読者は本当にまえがきを読まないのかな。
それにしても、久しぶりに読み終えるのがもったいないと思った本でした。って、こんなことを書くと今まで読んできた本は面白くなかったのかといわれそうなんですが、今まで読んできた本も決して面白くなかったわけではありません。昔は読み終えるのがもったいなくって途中で本を閉じて続きは明日、というようなことを良くやったものなんですが、年をとって残りの人生でどのくらいの本を読むことが出来るのだろうかなどと考えるようになってくると読めるうちに読んでおこうという気持ちの方が高くなってくるんですよ。
「デス博士の島その他の物語」の中で、主人公が途中で本を閉じてしまうシーンを読んで、ああ昔は自分もそうだったとついつい懐かしくなってしまったものです。
「アイランド博士の死」のような残酷で美しい話を読むと、ウルフ氏には申し訳ないけれども「デス博士の島その他の物語」でネビュラ賞を受賞させなかった人たちに感謝したい気持ちになります。「眼閃の奇蹟」の素敵なラストも良いんですが、個人的にはこちらの方が好きかな。地平線の彼方に目を凝らしたら自分の背中が見えたとか、海の底をのぞき込んだら木星が見えたとか、野田宇宙軍大元帥じゃないけどSFってのは絵だねえと言いたくなるような話。
なにしろ自分の娘の詩を載せたり、読者はまえがきをほとんど読まないという出版社の言い分を元に、「島の博士の死」という短いお話を載せたりとやりたい放題。しかしアメリカの読者は本当にまえがきを読まないのかな。
それにしても、久しぶりに読み終えるのがもったいないと思った本でした。って、こんなことを書くと今まで読んできた本は面白くなかったのかといわれそうなんですが、今まで読んできた本も決して面白くなかったわけではありません。昔は読み終えるのがもったいなくって途中で本を閉じて続きは明日、というようなことを良くやったものなんですが、年をとって残りの人生でどのくらいの本を読むことが出来るのだろうかなどと考えるようになってくると読めるうちに読んでおこうという気持ちの方が高くなってくるんですよ。
「デス博士の島その他の物語」の中で、主人公が途中で本を閉じてしまうシーンを読んで、ああ昔は自分もそうだったとついつい懐かしくなってしまったものです。
「アイランド博士の死」のような残酷で美しい話を読むと、ウルフ氏には申し訳ないけれども「デス博士の島その他の物語」でネビュラ賞を受賞させなかった人たちに感謝したい気持ちになります。「眼閃の奇蹟」の素敵なラストも良いんですが、個人的にはこちらの方が好きかな。地平線の彼方に目を凝らしたら自分の背中が見えたとか、海の底をのぞき込んだら木星が見えたとか、野田宇宙軍大元帥じゃないけどSFってのは絵だねえと言いたくなるような話。
コメント
「デス博士の島その他の物語」ジーン・ウルフ
「デス博士の島その他の物語」ジーン・ウルフ 久々のSFだ。デス博士の島その他の物語 華麗な文体、凝った世界観、衒学趣味など、色々言われている作家である。ディレーニー程難解ではないが、聖書や他の文学作品の知識があると、より楽しむことができるのだろう。いわ…
ジーン・ウルフとなると,相当覚悟して読まないとと,構えてしまいそうですが,読書の醍醐味を味わわれたようですね。
島ものは,飛ばし読みだったので,こんど,腰をすえて読もうかと思っています。
「アメリカの七夜」は,SFマガジンで,面白いけど,そこまで丁寧には読めないなという感じがしたのですが。
「眼閃の奇蹟」は,感動作ということで,期待しています。
翻訳者も,達者揃いで安心して読めそうですね。
「アメリカの七夜」以外は初読だったので島シリーズは特に楽しめました。「アイランド博士の死」がやっぱり一番ガツンときましたね。
「アメリカの七夜」は記述の何処の部分を信用するかで真相が変わってしまうので、無理して丁寧に読む必要もないだろうと思います。
■ジーン・ウルフ 『デス博士の島その他の物語』 The Island of Doctor Death and Other Stories and Other Stories
SFマガジンで「デス博士の島その他の物語」と「アイランド博士の死」は学生時代