トリツカレ男

突然、何の脈絡もなしに取り憑かれたかのように「何か」に夢中になってしまう男が主人公。バッタを見て三段跳びに夢中になって世界記録を出してしまったり、なぞなぞに夢中になって街中の人に煙たがれる。しかしどこか憎めない所のある主人公を街の人は「トリツカレ男」と呼ぶ。
そんな主人公が一人の少女に取り憑かれてしまうところから物語が始まる。もちろんここでいう取り憑かれるとは夢中になってしまったということ。
冒頭でいろんなものに取り憑かれる様子が描かれるのだけれども、それが中盤以降、無駄にならずに何らかの形で役にたつことになってくる部分が思わずにやりとしてしまいます。
しかし、愛する彼女の心のくすみをとことん取り除こうとするあまり、痛々しいまでの自己犠牲を払う部分で、変な方向へと話が進んでいくんじゃないかと思ったのですが、うーんなるほど。うまく話をまとめてくれました。
最後はみんなめでたしめでたし。
全てがうまく行きすぎてちょっと出来すぎなんじゃないかと思うかも知れないけれども、これはこれでいいのだ。