- 著 アルフレッド・ベスター/
- 販売元/出版社 国書刊行会
- 発売日 2007-06
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一瞬で、ダン・シモンズの『オリュンポス』が色あせてしまった。
話の整合性なんか無視して、場面単位で面白さの最大風速をねらった『オリュンポス』でさえ、この本には敵わなかった。まあシモンズ先生には感動という味付けがあるので一概に比較してしまうのも間違いではあるけれども、一見すると狂気の産物にしか見えない造りでありながら、物語の裏にきわめて冷静かつ明晰な作者の存在が見えているところがたまらない。極悪な話を書いていながら実は暖かい視点がシモンズ先生にはあるのに対して、ベスターは極悪な話を書いて、しかも突き放している。
何でも突き詰めれば傑作になるんだなあと思ったけれど、ここでいう「傑作」は、突き詰めたことに対するご褒美みたいなもので、一般的な意味での「傑作」とはちょっと違う。惜しむらくは縦書きの日本語に訳してしまったために右開きになってしまったことで、せっかくの楽譜の部分でテンポが少しそこなわれてしまうこと。ここまでしたんだったら横書きにして左開きにしてしまった方が良かったんじゃないのかな。
それにしても書いた人間も凄いけど、これを訳した人間も凄いよ、ほんと頭おかしいんじゃないのかって思った。
まさに悪趣味としかいいようがなく、それでいてまっとうなSF。これはベスター版スネークマンショーだよなあ。
「いいものもある。だけどわるいものもある」
コメント
『ゴーレム100』 アルフレッド・ベスター 国書刊行会
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マイクル・コナリーのハリー・ボッシュシリーズに出てくる
リジャイナ女王様の元ネタがまさかベスターだったとは!
コナリー恐るべし!
って、ベスター恐るべし!と絶叫するのが普通
悪趣味ぽいですが、ギャグが楽しくて良かったでちゅう、うふ。
終盤の繰り返しのギャグは確かに面白かったですね。あんなものをどうどうと書いてしまうベスターには脱帽です。
まあ、こういう本を面白がるのもなんだか問題があるような気もしますが、楽しい物は楽しいんだから仕方ないですね。