すべての終わりの始まり

すべての終わりの始まり

  •  キャロル・エムシュウィラー/
  • 販売元/出版社 国書刊行会
  • 発売日 2007-05

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もっと気軽に読むことの出来る短編集だと思っていたんだけども、やはり<短篇小説の快楽>というシリーズの中の一冊、快楽という文字にこめられている意味が違います。
ケリー・リンクに似ている雰囲気だなあと思ったものの、やっぱり違う。ケリー・リンクならば意味がわからなくっても表層レベルで楽しむ事ができたんだけど、表層レベルの物語ではさっぱり楽しめないのだ。
数学の図形証明で補助線というものがある。補助線を引くことで見えなかった部分が見えるようになって全体を理解出来るようになるんだけれども、キャロル・エムシュウィラーの小説の場合、その補助線を何処に引いたらいいのか、かなり気合いを入れないと見えてこないのだ。
もっと気軽に楽しむことが出来る話だろうと勝手に期待をしてしまっていたので、自分の頭の悪さ加減に情けなくなってきたんだけれども、なんでこんな苦労をしてまでもお前の本を読まなければいけないのだと作者に文句を言うことで自分の頭の悪さに関しては気づかなかったことにしてしまった。まあそのくらい辛かった。
しかし、補助線をどこに引けばいいのかがわかって、全体を見回すことが出来るようになると面白くなるのもまた事実で、読んでいる最中よりも、読み終わった今現在、あの話はこういう見方ができるのだといろいろと思い繰り返してそれなりに楽しんでいるのである。

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