やどかりとペットボトル

やどかりとペットボトル (角川文庫 い 51-3)

  •  池上 永一/
  • 販売元/出版社 角川書店
  • 発売日 2007-08

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去年の十一月に出たのにもう文庫化したの、と驚いたのだけれども最近は文庫になるのが早くなっているなあ。その分書店から消えてしまうのも早いんだけど。
過去のインタビューなどを読んでいるので、この人書く小説もむちゃくちゃ面白いけれども本人自身もむちゃくちゃ面白い人だということを知っているので、さぞかし面白いエッセイになっているのだろうなと思いっきり期待をして読んだところ、期待通りの面白さである。
エッセイだからといって嘘を書いてはいけないということはないだろうけど、次から次へと嘘みたいな話が飛びだしてくる。全体の流れとしては、子供の頃の話から始まって青春時代、そして現在の話へと移っていくのだけれども、幼少の頃の話が凄まじく面白いのだ。
作者本人もかなりテンションの高い人だけれども、エッセイの中で描かれる母親も、もの凄い人だ。
特に凄さを感じさせたのが誕生日の話で、作者の誕生日の日、食卓にローソクの立った誕生日ケーキがおかれ、ローソクの火を消すという定番の行事が行われようとする。
その時の母親のセリフが凄い。

「さあ、命の火を吹き消しなさい」

確かに、年の数だけローソクを立てるのだから間違っているとは言い切れないのだが、作者は誕生日が来るたびに自分で自分の命の火を消さなければいけないことに憂鬱になるのである。

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