- 著 田中 哲弥/
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 2007-09-04
これでとうとうお終い。といっても三部作となっていながらも、舞台が大久保町というだけであって、話そのものは何の繋がりもなくしかも舞台となる大久保町の設定ですら毎回異なるので三部作などというのもおこがましい気もする。まあ一部の登場人物は他の作品にも登場するのであるが、それさえも同姓同名、性格も何故か同じという別人である可能性も高い。
というわけで、冒頭のお終いというのは三部作がお終いとなったという意味ではなく、過去に刊行された本が全て復刊され尽くしてしまったという意味である。実は密かに新作を書き続けていて、未発表の作品がかなり溜まっているというわけでもない限り、作者が新たに作品を書いてくれない以上はいくら待ち望んでも新作は出ないのである。ひょっとしたら例の翻訳作品が出るかも知れないが、ちょっと難しいだろう。
で、今回も今までと同様、くだらなくってそして面白くって後には何も残らない話だ。とりあえず今までの主人公とは違って小さい頃から凄腕の傭兵の教えを受けてきたために腕っ節が異常に強いところが変わっている。もっとも変わっていると言っても性格の方は同じで天然である。
こういう場合、主人公が暴走して収集が付かなくなるのがお決まりの展開かも知れないが、主人公以外の登場人物も天然なので、主人公は暴走しない。まあ身も蓋もない話ではあるが、根底はボーイミーツガールなので読後感は実に良いのである。
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