- 著 ジョン・コリア/
- 販売元/出版社 河出書房新社
- 発売日 2007-11
『千の脚を持つ男 怪物ホラー傑作選』に収録された「船から落ちた男」を読んで、ジョン・コリアに対するイメージががらりと変わったんだけれども、こちらを読んだら元通りになってしまった。
不気味な話だったり、バッドエンドな話だったりしてもジョン・コリア語る物語は明るく、けっして陰惨にならないのだ。
「夜だ!青春だ! パリだ! 見ろ、月も出てる!」なんかは殺人鬼のトランクケースの中に男女二人の人間が入り込むという非常に変な話なんだけれども、脳天気なくらいに明るくそして何よりもセンスが光っている。
「異説アメリカの悲劇」だって、主人公は生きながら腹を切り裂かれ解体されるけれども、主人公は最期までもの凄く脳天気である。
それ故に、不幸な結末になる話は読み終わった後で不思議な余韻を残す。個人的にはそのあたりがちょっと不満だったりもするんだけれども、それはやっぱりジョン・コリアとは相性が合わないってことなんだろうなあ。
もっともそのギャップの部分が楽しいのであってハッピーエンドになる話は逆に物足りなく感じてしまう。
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