- 著 レイ・ブラッドベリ
中村 融 - 販売元/出版社 河出書房新社
- 発売日 2008-01
本に耳が付いているせいでついつい買ってしまったけれども、やはり読んでいて悲しくなってしまった。
『塵よりよみがえり』を読んで愕然としてしまった事があったのでもう新作は読まないことにしていたんだけど、書いたっきり未発表のまま書斎に眠っていた1940年代から1950年代にかけての作品と、2000年以降の作品とが入り交じった短編集だというせいもあって読むことにしたのだ。
少なくとも1940年代の作品は輝いているだろうと思ったのである。
しかしなあ……。なんだか変なのだ。
そこに書かれているのは確かにいつも通りのブラッドベリの世界だ。
でも輝いていない。
この本の冒頭で、ブラッドベリは「ピンピンしているし書いている」と語っている。そう、ブラッドベリはちょっと年老いてしまったけれども、何も変わってはいないのだ。むしろ変わってしまったのは自分の方なのである。
いつの間にか僕はブラッドベリを卒業してしまっていたのだ。そう気付いたとき悲しくなった。
いつか年老いたとき、『火星年代記』をもう一度読み直してみようと思い続けていたのだが、この本もおそらく、あの頃のように輝いてはいないのだろう。
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