- 著 高城 高
- 販売元/出版社 東京創元社
- 発売日 2008-05-29
『墓標なき墓場』が意外とトリッキーな話だったので、ついつい短編もそんな話なのだろうと思ってしまったのがいけなかった。
「X橋付近」を読んでも、悪い意味での「なんだこれは」という感想しかでなかったのだ。
さらに「火焔」や「廃坑」となると謎すら登場しなくなって、期待したミステリでは無くなってくる……のだが、情けないことだがそのあたりでようやく自分の読み方が間違っていたことに気がついた。
期待する物が変わってくるととたんに、それまで靄がかかっていた世界が急に晴れ間を見せたような感じで、高城高の世界をようやく見渡すことができたわけだが、そうなってくると逆に「火焔」や「廃坑」といった非ミステリ系の作品の方に興味が行ってくる。中途半端と思わないでもない幕切れが鮮やかというか、なんかいいんだよなあ。
ハードボイルドとはなんぞや、などというのは私の手には余る問題なのでそのような言葉は使わないのだが、高城高の乾いた情感はなんとなくクセになりそうだ。
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