- 著 シオドア・スタージョン
- 販売元/出版社 サンリオ
- 発売日 1980-12
何処をどう切り取ってもスタージョンらしさにあふれていて、そういう意味ではスタージョンってどんな作家なのかを知るのにはちょうどいいのかも知れないけれども、しかしスタージョンの小説がほとんど絶版状態だった五年くらい前ならばともかく、ここまでスタージョンの小説を簡単に読むことが出来る今となってはほとんど意味をなさない。というか、ここまで他の作品が翻訳されてしまうと、うーん、この話単体で出してもなあ、という気もする。
いや、だからといって復刊する価値がないのかといえば全くもってそんなことはなく、スタージョンが好きな人ならば、この小説は充分に堪能できる話であり、スタージョンの持つあの独特な「愛」をそこに見いだして思わず微笑んでしまうのだ。特に、冒頭と結末の見事な対比は素晴らしい。
サンリオ文庫版では250ページちょっとの分量でありながらディレイニーによる50ページにも及ぶ序文がついていて、スタニスワフ・レムのスタージョン批判に対しての弁護をしていたりとディレイニーのスタージョン好きが垣間見られるところも素敵だ。
というわけでもし復刊されるのであれば、この本では収録されなかった短編版「メデューサとの結婚」とレムのスタージョン批判とを併せてくれるといいなあ。
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