- 著 ジーン ウルフ他
- 販売元/出版社 国書刊行会
- 発売日 2009-02-25
もうこれは編者である若島正の趣味全開の一冊だ。
小鷹信光の『〈新パパイラスの舟〉と21の短篇』も小鷹信光のやりたい放題の一冊だったけれども、若島正だって負けてはいない。
オビを羽生善治、『猫を抱いて象と泳ぐ』を出したばかりの小川洋子に前書きを書かせ、本人自身は解説でやりたい放題だ。
チェス好きにはたまらない一冊だろうけれども、チェス嫌いには正反対の意味でたまらない一冊だろう。
チェスのことを知らなくっても楽しめるとは書いてあるけれども、まあある程度知っていないと面白くない話も存在するが、ゼラズニイとブラウン目当てだったので全然平気だ。
しかし、編者の趣味が炸裂したせいか、ネタ的にかぶっている作品がちらほらあって、スレッサーとゼラズニイは主人公の行動が同じなぶん、後に掲載されたゼラズニイがちょっと損をしている。
それでもゼラズニイは冒頭からしてスタイリッシュでかっこいいのでまあ良かったけれども、個人的にはスレッサーより先に読みたかったよ。
一方ブラウンはというと、まあいつものブラウンかな。このネタだとアイデアが豊富というよりも使い回しがうまいといった感じだ。もっとも書かれた年代からするとこのネタをブラウンは次々と発展させていったといえるのだけれどもね。
その他、ちょっと飽きてはじめたジャック・リッチーも楽しめたし、こういう趣味全開の本は楽しいよなあ。
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