- 著 ニール・ゲイマン
- 販売元/出版社 角川グループパブリッシング
- 発売日 2009-02-28
- 著 ニール・ゲイマン
- 販売元/出版社 角川グループパブリッシング
- 発売日 2009-02-28
こりゃ面白いなあ。
話そのものはシリアスなんだけれども、重苦しい題材であっても雰囲気はけっしてどんよりとさせず軽やかに、それでいて薄っぺらくならないところがゲイマンの凄いところなんだろうなあ。
アメリカ大陸へ移民してきた人々、その人々と一緒にその人達が信仰する神々もやはりアメリカ大陸へとやって来ていた。しかし、人々の信仰が薄れるに連れて神々の力も弱まる。そして弱まった古の神々の変わりに力を付け始めてきたのが新たな信仰の元に生まれた新しい神々だ。その信仰というのがインターネットであったりクレジットであったりという部分が面白いというかゲイマンの手にかかると面白くなってしまう。オーディンやアヌビス、アナンシといった神々がインターネットの神やクレジットの神と戦おうとするのである。
信仰が薄れると力を失うってのはそれほど目新しい考えではないけれども、まあこれって人間原理でもあることを考えると、なかなか凄いよなあ人間原理って。
で、物語の流れはどうなのかっていうと、新旧の神々の戦いという方向へ向けての一本調子ではなくって、ドタバタしていてすんなり話は進んでいかない。しかしその進んでいかなさ加減が物語に厚みを持たせているのも事実で、ドタバタしているけれども、作者はそのドタバタさも強引にねじ伏せて一つにまとめてしまっているので、事態が収拾した後のエピローグ的な主人公の物語が凄く胸を打つのだ。
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