- 著 ボブ・ショウ
- 販売元/出版社 サンリオ
- 発売日 1981-07
ボブ・ショウが亡くなったとき、未訳の小説の翻訳が進むかと思ったけれども、そんなことなどなくそのまま忘れ去られてしまった。
今だったら一冊くらい翻訳されていたかもしれないけれども、うーん、やっぱり無理だろうなあ。
というわけで、偶然入手する事の出来た『メデューサの子ら』を読んでみた。
海中で繁殖している巨大な植物の根っこに、翼をもがれた飛行艇が網でつなぎ止められ、そしてその場所を住処としている200人ばかりの人類がいた。
何処か別世界の惑星に棲む異星人の物語かと思うとそうではなく、彼らの祖先は地球人でそして、彼らの棲む世界は巨大な水の固まりで、その水の固まりは宇宙空間に存在しているのである。
数世代前に彼らの祖先はこの場所へと飛行艇ごと連れ去られ、そして、飛行艇の中で生き延びたのである。おりしも少し前に読んだ『生存の図式』と似たような設定であるけれども、ボブ・ショウの興味はサバイバルではないので、生き延びた子孫は環境に適合した進化を遂げている。
で、いったいどんな話になっていくのかというと、これがなんとも不思議な方向というか、この不思議な設定のなりたちといった謎は解明されるのだけれども、期待しているのとはまったく異なる方向へとばく進し、ほとんど読者を置いてきぼりに近い状態の速度で物語のけりをつけてしまうのだ。
よくもまあ、こんな話をボブ・ショウの紹介第一段として訳したものだと感心してしまう。
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