経過報告27

10/1

早朝、目が覚めると少し寒気がする。寝る前までは体が火照っていた感じなのに。
熱が下がったのか、それとも悪化したのか。
コーヒーを入れながら食パンをトーストし、ゴミ出しをする。
朝食の後、薬を飲み、しばらくして熱を計ると36.8度だった。昨日よりも下がっている。喉の痛みを少ない。が変わりに時折咳が出る。
変化があったらまた診察に来てくださいという昨日の先生の言葉を思い出すのだが、これは変化なのだろうか。そもそもここ数週間体の具合はよく分からない。常に熱っぽかった気もするし、体調管理という以前に、体力維持で精一杯だった。とりあえず動くことができていればそれで良い。そんな状態だ。
今日は1日ゆっくり休むことにする。
妻の面会には行かないが、一応妻には言ってある。まあ忘れているだろうけど。
具合は良くなっているようだが、万が一私が死んでしまった時のことを考える。
保護者は妻の母親になるだろう。そうなったら妻は退院をさせられる。おそらく薬物治療はさせて貰えない。実家へ戻って安定し、それで治る可能性もあるが、おそらく無理だろう。再発の可能性が極めて高い。
私の父に保護者になってもらう事も考えるが、これも難しい。
退院予定日まで、私の死を隠してもらうことができればそれがいいのだが。私に連絡が付かない時には私の母を第二連絡先にしてある。義母ではなくだ。だから父と母が私に協力してくれれば不可能ではない。
こんなふうに考えてしまうのは、弱っている証拠だ。
今日で妻が入院して、いや妻を入院させて一週間となる。
一週間前と比べると、一人っきりの生活に少し順応してきたような気もする。
一人っきりの部屋に少しだけなれた気がする。
妻はこの世界に順応することが出来なかったのだと思った。
頭がおかしくなったから幻聴が聞こえるようになった訳ではない。
順応出来ない世界に自分を無理矢理順応させようとして幻聴を真実と受け止めてしまったのだろう。
そして幻聴を真実として受け止めてしまったからこそ後には引けなくなり、そして誰も信じて貰えない世界へと突き進んでしまったのだ。誰も信じて貰えないから孤独になる。誰も信じることが出来なくなる。そうなれば誰だって暴力的になったりもする。
話が通じないから怖いのはお互い様で、こちらも怖いけれども、向こうだって怖いのだ。
しかし、それはもの凄く努力がいる。
自分の妻だから、ここまでがんばって来ることができたけれども、相手が他人だったらどうだろうか。
私は精神病に偏見など持っていない。なんてとても言えそうにない。
せいぜいが、持たないように努力しています、ってところだ。

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