あまり雑誌は読まないし、買っても掲載されている小説はほとんど読まない。買ったのに読まないというのも不思議な話なんだけれども、昔から何故か雑誌に掲載された小説は読む気が起こらないのだ。そんなわけだからこの手の年間傑作選は自分にとってはありがたい本なんだけれども、今回は既読が四作品あった。しかしそれを抜きにしてもお買い得感はある。
小川一水「アリスマ王の愛した魔物」は計算する物語。イーガンの「ルミナス」にしろ、森羅万象あらゆる物事を計算し、計算結果で物事を操るという話は面白い。あまりバリエーションはなさそうなんだけど。
同人誌に掲載されたという伴名練の「ゼロ年代の臨界点」が思わぬ掘り出し物で、ゼロ年代というくくりをひねくったここまでの作り込みが素晴らしい。キース・ロバーツの小説にも出てきた腕木通信におけるネットワーク知性体というアイデアがいいなあ。
不満を挙げるならば、津原泰水の「五色の舟」が収録されていながら、恩田陸の「東京の日記」が入っていないのが不思議なところ。
『結晶銀河 年刊日本SF傑作選』

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