奇しくも小松左京の追悼本が同じ月に二冊でた。評伝ならば読んでみたい気持ちもあるが、小松左京の本格的な評伝が出るのはまだまだ先のことだろうし、ひょっとしたら誰も書こうとはしないかもしれない。
書店で実物を見たらそのまま手に取り、レジに向かってしまっていた。価格的にも、手に取りやすいムック形式のこちらの方が先に出たのは、ある意味好都合だったのかもしれない。
少し前に行われた追悼トークショーを文字に興ししたものや、関係者の追悼文はもちろんのことだけれども、過去の書籍化されていない文章が多種に渡って収録されていたのは思わぬ収穫だった。
新潮文庫の『時間エージェント』の解説の星新一の文章などは、読んでいたにも関わらず、どんな内容だったのかという以前にこの本の解説を星新一が書いていたことすら記憶の彼方だったのには自分の記憶力のなさにもはや笑うしか無かったけれども、福島正実の追悼ということで半村良と行われた対談はなかなか興味深いエピソードが多かった。
半村良が福島正実の弟子を名乗っていたことや、小松左京が覆面座談会事件の後でもそれほど福島正実のことを嫌っていたわけではなかったことなどなど。
偉大とか偉業という以前に笑えるエピソードが沢山出てくるところが読んでいて楽しいくもあり、晩年のエピソードになるに連れてそれが少なくなっていくのは仕方がないこととはいえ、寂しい気持ちにさせられる。
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