『ラスト・レター妖精作戦 PART IV』笹本祐一

著:　笹本祐一
販売元／出版社:　東京創元社
発売日:　2012/11/29

さて、ようやく東京創元社で復刊した＜妖精作戦＞シリーズも最終巻が無事に出て完結した。
で、僕もようやくこのシリーズをすべて読み終えることができたのだが、トラウマになる結末とか、衝撃の結末とか、だからこそ傑作になったのだとか、いろいろと言われてきたこの最終巻、正直に言えば期待しすぎた、それは秋山瑞人の『イリヤの空、UFOの夏』の元ネタとなったということもあるのだが、それはさておいて、やはりこの物語を楽しむには年をとりすぎたというのが一番の理由だろう。
最終巻は最初から最後まで主人公は行き当たりばったりで、もちろん彼らの行動は一巻目からそうだったのだが、こんなにハラハラしながら読んだ物語もなかなか珍しい。しかし、このハラハラは物語が楽しくてハラハラしたわけではなく、主人公たちが適当に行き当たりばったりで行動していくので、どんどんと残りの紙面が少なくなり、この残りの紙面でこの物語をどのように決着させるのかハラハラしっぱなしだったのである。
で、この結末だったのだ。
といっても別に非難しているわけではない。
むしろ、この結末だったからこそ、これだけ語り継がれる物語になったわけで、衝撃的な結末でありながらもそのあとのエピローグがせつなさとほろ苦い余韻をかもし出している。