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- 『アクアリウム』須藤真澄
須藤真澄は絶対の安定度を持った漫画家になったと思う。もうどんな作品を描いても一定以上のクオリティが保証されているので安心して読むことができるのだ。
しかし、読者というのは時としてわがままで、安定した作品、つまり面白いことが保証された作品など読みたくなくなることがある。
どこからこの安定が生まれてくるのかは漫画家によってそれぞれ異なるけれども、須藤真澄の場合は視点の変化だと思う。デビュー仕立ての頃の須藤真澄の視点は描かれる作中の人物と同じ視点であり、彼女の描く対象は不安定な心をもった少年少女であった。それゆえに描かれる作品も不安定さをそのまま表現していた。それがいつしか視点が変わり、描く対象と等身大の視点ではなく、作者自身がコントロールするいわゆる神の視点、いやどちらかといえば親としての視点を持ちえて、そしてその視点でもって描くようになった。それが悪いわけではないけれども、時として登場人物と一緒に悲しんだり、泣いたり、笑ったりしたくなる。『アクアリウム』はそれが一番ダイレクトにできる須藤真澄の作品である。。
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