コレクター

僕は基本的に本にカバーというものをつけない。
というのも、本にカバーをつけてしまうと本のタイトルが見えなくなってしまうのでカバーをつけたままその本が何の本なのかを判別するためにはその本の厚さから推測するしかない。あるいは書店でつけてくれるブックカバーであれば、そのカバーがどこの書店のものなのかというところから推理してその書店で購入した本を記憶から呼び覚まし判別するということも不可能ではない。
とはいっても、基本的にブックカバーを付けるという行為は本を汚さないため、もしくは外で本を読んでいる時に他人に読んでいる本がどんな本なのか知られないためのどちらかではないかと思う。
だったら別にブックカバーをつけておいてもかまわないのではないかと思う人はおそらく一度に一冊ずつしか本を読まない人だろう。しかし僕は常に複数の本を同時進行で読んでいるので、今読んでいる本にブックカバーをつけるとすると先に書いたようにブックカバーをつけた本が何冊もあって、どのブックカバーをつけた本がどの本なのかわからなくなってしまうのだ。
断っておくと、複数の本を同時進行で読んでいるからといっても一度に読むのは一冊ずつであって、要するに一冊の本を読みおえないうちに次の本を読み始めるというだけにすぎない。
というわけでブックカバーは必要としない生活を送っていながらも何故かブックカバーは溜まっていくのである。ときおり出版社がブックカバーのプレゼントを行なっていたりして、そういう時にやめておけばいいのに応募してしまい、その結果ブックカバーが溜まっていくのだ。
ブックカバーそのものにはあまり興味がないのでどのくらい溜まっているのかもわからないが、かといって捨てるのも忍びない。ブックカバーそのものはかさばるものでもないのだが少しずつ枚数が増えていく。このままいくとひょっとしたらブックカバーコレクターと名乗ってもいいくらいに溜まっていくのかもしれないと思うと、意図せずして人はコレクターとなっていくこともあるのだなあと思うのだ。