同じなのに違うもの

しばらく前からよく行く書店で、新潮文庫を買うと栞を貰えるようになった。
頭の上にアンテナのようなものをつけたテレビの画面のような顔のキャラクターの栞だが、「キュンタ」という名前がついているらしい。
栞には6種類ほど種類があって自分で好きなものを選ぶことができるのだが、この栞、大きいのである。縦の長さは文庫の3/4ほど、横幅は文庫の半分近くある。しかしこれは小さい方の栞で、大きい方の栞の横幅は文庫本より二回り程度小さいぐらいで、こんな大きさにデザインした人間はちょっとどうかしているんじゃないかと思ってしまうのだが、それは僕が栞に対してそれほど思い入れがない人間だからかもしれない。そもそも栞そのものにはまったくこだわりなどなく、読んだ場所がわかればいいだけなので、本を買った時のレシートを栞の代わりにしたり、本を入れてくれた紙袋の端をちぎって栞代わりにしたりとそんな程度である。
しかし、そもそもの問題はそんなところにあるのではなく、ご存知の方もおられるだろうが、新潮文庫には栞として使うための紐が付いているのである。なので新潮文庫を買って栞をもらっても殆ど意味は無い。
栞を貰うようになってから2,3ヶ月ほど経っているが、栞の量はあまり減っていない。ひょっとしたらこの店で本を買い続ける限り残りの栞の半分くらいは僕が貰うハメになるのではないのかという気持ちも無きにしもあらずなのだが、ここでようやく本題に入ることにする。
栞は英語でいえばブックマークになるのだが、ブックマークといえばブラウザーでよく見るサイトのURLを登録する機能のことも指す。ブックマークと呼ばずにお気に入りと呼ばせるブラウザーもあるけれども、ブックマークと言って、栞のことを頭に浮かべる人間はほとんどいないだろう。
本来は本の栞のことを指しているのにいつのまにか意味が違ってしまっている。同じなのに違うものになっている。

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