週刊 5巻以内で完結する傑作漫画99冊+α 84/99

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  1. 『春風のスネグラチカ』沙村広明
    現在のロシアという国が、かつてはソビエトという名前で呼ばれていたことを知らない世代も多くなってきた。さらにはそのソビエトでさえその前はロシアと呼ばれていて、ロシアという国がソビエトになってそしてまたロシアになった時、ロシア人はソビエトという国があったことを無かったことにしたかったのだろうかと思った。
    それはさておき、この物語はかつてのロシア、ロシア帝国と呼ばれた時代から革命をへてソビエトとなった時代の物語。最近の沙村広明にしてはめずらしく直球どまんなかのシリアスな物語だ。
    両足が義足の車いすに乗った少女と彼女に付き添う片目の青年。二人の素性はまったく語られず、謎のままに物語は進む。あまり内容について触れてしまうと二人の正体がわかった時の驚きが失われてしまうので、これ以上は書かないが、二人の正体が判明したときに判る歴史の隙間の部分をうまく埋めたミステリとして堪能することができると同時に、沙村広明の持ち味の一つである、サディスティックで猟奇的な、いってしまえば作者の趣味がうまく物語とミックスされた作品でもある。

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