菜時記　弥生/戊子

統合失調症を発症していらい、人の大勢いる場所を恐れるようになった妻は、買い物に行くことも困難になった。
だから僕は妻の代わりに一週間分の食料品や日常品を買うために週末、一人で買い物に出かける。
昔は時々、老後はこういうことをしたいということを妻は言っていたが、次第にそういうことを口にすることはなくなってきた。それは僕たちが老後に近づいてきたからだというわけではない。希望の持てる老後などないかもしれないと思うようになってきたからだ。
菜時記　弥生/戊子
キャベツの1個売りが安いのだが、1/2カットでじゅうぶんなので105円で買うことにする。
店頭では、小ぶりの新玉ねぎが5個ほど入って170円だったのでこれは安いと思いかごに入れるのだが、地元野菜コーナーでは3個で150円だったので、少し悩んだ末に5個もいらないので3個150円の方を買うことにする。5個170円のほうは新玉ねぎでありながら少し黄色みがかかっていて、地域によってはこういうものなのかと思っていたらよく見たらタイ産だった。別に国にこだわるつもりはないのだがタイの新玉ねぎはこういうものなのだろうと思った。
長ネギが安く、2本で128円。これはお買い得だった。
地元野菜コーナーではほうれん草が130円、細かなバラけたブロッコリーが140円となかなか良いものが揃っている。
麺類は次の店で買うつもりだったのだが、二人前で97円というラーメンがあったので、物は試しと買うことにする。この値段であれば失敗しても後悔するほどでもないし、安いからといってまずいというわけでもないだろう。
レジで精算すると、わりと安く買うことができたので、気分良く次の店へと向かう。
次の店では各種リンゴが税抜きで98円。安いだけあって傷物が多いのだが、すぐに食べるのであれば問題ない。麺類コーナーでは2人前焼きうどんが税抜き98円。ソース味ではなく醤油味だったので買うことにする。