もともとは普通の小学生だったのだが、今は身長11センチの小人。
なんらかのウイルスの保菌者ということで追われる身である。
そしてこの物語はそんな二人の少年の逃避行の物語だ。
しかしそんな設定を除けばいつもどおりの施川ユウキの四コマ漫画なので、基本はギャグであり、どこかしら哲学的な佇まいがあり、そしてセンチメンタルだ。
主な登場人物は小人になってしまった二人の少年のみ。
作者のあとがきによると、 マリー ポムピュイ 、ファビアン ヴェルマン の『かわいい闇』に触発された作品らしい。
『かわいい闇』はちょっと興味があったけれども未読のままで、そのうち機会があれば読んでみようかと思っていた。あとがきがあるとは思っていなかったので、『ヨルとネル』の本編を読み終えた後であとがきを読んだのだが、なるほどと思った。
腑に落ちたといえばいいだろうか。
同じ作者による『オンノジ』は僕は施川ユウキの傑作だと思っているのだが、『ヨルとネル』は『オンノジ』と対になる作品でもあるらしい。たしかに言われてみればそうだ。
なんだかもどかしい書き方しかできないのはこの作品の終盤の展開ゆえのことで、興味を持った人は何の先入観もなしにこの作品を読んで、そして小人達の悲しみを感じ取ってもらいたい。
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