作者のあとがき漫画を読むと、途中で長い休載を挟んでの物語だったようだ。
とはいっても、休載前と休載後とで歴然とした変化があるわけでもなく、もちろん休載の時点で物語としては一区切りがついているので物語の進行上においては変化はあるが、作風の違いといったものはほぼない。
二階建ての建物の一階で喫茶店を営む女性と、二階で雑貨店を営む青年との見ているほうがもどかしくなるほどの不器用で純情な恋愛物語なのだが、それだけで終わらないのがこの漫画家の物語で、青年のほうには亡き母親の形見である待ち針に母親の霊が乗り移っていて彼のことを見守っており、女性のほうには彼女が昔飼っていた犬が守護霊として彼女のことを見守っているという点だ。
母親と犬は互いにお互いの守護対象のことを第一に考えていろいろと行動をし、そして最終的には主人公たち二人の恋を成就させるために暗躍、そう暗躍といった言葉がぴったりなほど、己の目的のためであれば手段は全く択ばないという行為をしまくる。
その一方で、守護霊たちの存在や守護霊たちが暗躍していることにも全く気が付かない主人公たちのもどかしい恋愛の話が進行していくのである。
そんな小さな恋の物語がきれいに一冊にまとまっている。
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