うちのクラスの女子がヤバい 3

楽しい時間もいつかは終わる。
相変わらず多彩な人物を登場させる作者で、誰が主役というわけではなく、全員が主役で、たまたまその回の話ではその人物が主役になったに過ぎない。
というわけで、思春期の少女の不安定な気持ちが、全く何の役にも立たない特殊能力、無能力という形で発動してしまう世界を描いたこの物語も、彼女たちのばかばかしいほどに役に立たない特殊能力を持ってしまったがゆえに余計に悩んでしまう姿や、また、そういった無能力をもった生徒ばかりを一クラスに集めてしまうという学校方針のために、無能力の集まりの中で、無能力を持たない生徒の悩みというものが描かれたりと、奥行きが広がっていく。
さらには、思春期をすぎれば消えていく無能力が、思春期を過ぎても発動しっぱなしの女性が教育実習生として登場したり、ますます物語としての深みは広がっていくがあくまで学生生活の中だけで終始する割り切り具合も素晴らしい。
無能力をなんとかしてコントロールしようとするたくらみなどもあるけれども、それにはそれで脱力したくなるような落ちがついたりしながら、物語は終わりに向けて進んでいく。
そして、最終話はこれまでわき役として登場しながらも主役として描かれることはなかった一人の生徒の話となる。はたして、彼女の無能力とはなんだったのかという謎も含めて、一年生から二年生になるということがらを卒業というイベント並みのレベルで描いたのは素晴らしい。

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