冬目景の新作。
中断したままだった『黒鉄』が15年ぶりに再開するというニュースもあって、楽しみにしているのだが、こちらの新作のほうも面白かった。
空電ノイズという題名からSFもしくはファンタジー的な物語だと勝手に想像していたら、その予想は大外れで、現代を舞台とした話だった。
今回は音楽をテーマにしている。
登場人物達は今までの冬目景の作品のキャラクターと似たようなキャラクターで、新味はないけれども、なんだかそれが心地よい。
初めてなのに久しぶりに合った旧友と言った感じだ。
ミュージシャンを父親に持つ女子高生が謎めいた転校生の女子高生と出会うところから物語は始まる。
そこへ、プロのバンドを目指してギターメンバーを探している二人の男性が関わってくる。
このあたりの展開は淡々としながらも手際よく、するすると読んでいくうちに登場人物たちが一人増え二人増え、群像劇的な展開になっていく。
主人公のギターを演奏しているシーンもかっこよく、ちゃんと音が聞こえる。
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