ここ数年、僕がよく読んでいる女性作家というと、桜木紫乃、柚木麻子、宮下奈都の三人だ。
桜木紫乃以外の作家は必ず読むというわけではないけれども、そもそも僕はあまり作家買いというものをしないので、出た本は必ず買っている桜木紫乃の方が例外中の例外である。
三人の小説を比べてみると、いや、比べるということが意味のあることなのかというと意味はあまりないのだけれども、桜木紫乃の小説は人生の暗い面や厳しい面をありのままに、いやあからさまに描くことをしていて読んでいて気が滅入る時もあるけれども、地に足の着いたというか、自分と地続きのところで生きていると感じさせてくれる人たちの物語は、かならずしもハッピーエンドではなくても読んでよかったと感じさせてくれる。
それに比べると柚木麻子の場合は女性が主人公で、それ故に男である僕の知らない女性たちの世界を柚木麻子は幻想性などなしにリアルに描いている。宮下奈都の場合は先の二人と比べると、ドロドロとした部分が少なく、読んでいて希望が持てる。
少し落ち込んでいる時や、少しつかれた時に宮下奈都の小説を読むと、もう少し頑張ってみようという気持ちになることが出来るのだ。
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