カラシユニコというちょっと変わった名前の作者のデビュー作。
最初はカラシニコフと読んでしまい、随分と凄い名前の漫画家だなあと思ってしまった。
それはさておき、作者の名前も変わっているけれどもこの本の題名も変わっている。
「メメント飛日常」である。
どんな話なのか気になる題名だ。メメントというとクリストファー・ノーラン監督の映画を思い出す。自分が必ず死ぬことを忘れるなという意味のメメント・モリというラテン語から取った題名だ。そこに、非日常ではなく飛日常という言葉を付けてある。僕では思いつかないような言語感覚なのでこういう言葉に出会うと嬉しくなる。
どこかちょっと、いやだいぶ不思議な、そして変な話ばかりだ。
目が覚めると、ビルの屋上にいることに気がつく主人公。屋上にななぜかトイレがあるのだが、それだけだ。下に降りるためのエレベーターも階段もない。ビルの周りをみてみると、そこはだだっ広い荒野。ビルの下にはなにやら人の死体らしきものが見える。どうやら主人公は何者かによってここに置き去りにされてしまったようである。そして助かる方法はない。ビルから出るためには飛び降りるしかなく飛び降りれば死ぬ。屋上にいるのは主人公だけではなかった。主人公以外ににもう一人いたのだ。それはトイレ掃除のおばちゃんだった。おばちゃんも何者かによってここに置き去りにされてしまったのだ。
なんだかもの凄い設定である。よくもまあこんな設定を考えついたものだと思うのだが、しっかりと物語として成立しているから凄い。
どことなく、まどの一哉を彷彿させる雰囲気だが、まどの一哉よりも明るくポップだ。
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