基本的にはこの手のものは読まないのだが、webで公開されていたものをうっかり読んでしまってそのまま買ってしまった。
フィクションではなくノンフィクションであり作者の体験した出来事をもとにしたエッセイ漫画だ。
中身よりもタイトルに惹かれたという理由も大きいだろう。
大丈夫。世界は、まだ美しい。
いったいなにが大丈夫でそして作者にとってこの世界はどういうふうに美しいのだろうか。
それは作者が漫画家であるが故なのだろう。この世界をその目で見たとき、僕たちの世界はまだ美しいのだ。
つきあっていた彼女がある日突然亡くなってしまう。彼女は生まれつき心臓が悪かったのだが、前日までは何事もなく生活をしていて、突然心不全でこの世を去ってしまう。
自分にとって大切な人がなんの前触れもなく亡くなってしまうということは誰にでも起こり得ることだけれども、身につまされるのは主人公が最後に彼女と別れた時、彼女の言動にちょっとばかりムッとしてしまってお別れの挨拶をせずに別れてしまったという部分だ。
ああ、これは引きずってしまうよなあと僕も思う。僕も朝、ときどき妻と喧嘩して、ムッとして一言も話をせずに仕事にでかけてしまうことがある。そんなとき仕事をしながら、これが最後になってしまったら、と考えて思いっきり後悔する。だからといって翌日から悔い改めることができるかといえばなかなかできないのは自分の弱さだ。自分が後悔するのは仕方がないが妻にはそんな寂しい想いをさせたくはない。
そして僕も妻が統合失調症を発症したときのことを書き連ねたことがある。書かずにはいられなかったからだが、今にして思うと記憶から記録に変えておきたかったのだと、この本を読んでそう理解することができた。
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