よしながふみの『大奥』は元凶となった赤面疱瘡の治療方法が解明されたところがクライマックスで、そこから後は史実に戻っていくのだろうと思っていたのでその後の展開がまだまだ続くのに驚いたのだが、考えてみるとどうせならば徳川幕府が終焉を迎えるところまで描いてしまったほうがスッキリする。
男女が入れ替わってしまったという状況のみでそれ以外は史実と同じ展開をしていくというアクロバットな構成のこの物語のなかで赤面疱瘡の治療方法解明以降の展開は消化試合じみているなあと思ったこともあった。
しかし、ここに来てそれは僕の浅はかな読み方で、この物語の持っているポテンシャルはまだまだこんなものじゃないと見せつけられてしまった。
この物語では14代将軍家茂が最後の女性将軍となるわけだが、このあとどういう形で慶喜に引き継がれていくのが、それよりもこの巻のラストでのとある人物の決断がどういう方向へ進むのか、江戸時代という時代の終わりと大奥という物語の終わりを作者がどういう形で見せてくれるのか楽しみだ。
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