『スキップとローファー 3』高松 美咲

主人公の素朴さが読んでいて心地よい。
東京の高校を受験して田舎から上京してきたという設定なので都会ずれしていなくって素朴さがあるのは当然なのだが、単純な素朴さだけではなく将来はエリート路線に乗るという野望を持ち合わせていてそれが天然にもつながっていて、さじ加減が絶妙なのだ。そして高校生というよりも小学生といったほうが良いような行動も時としてする一方で同級生の男の子を異性として見てしまうという年相応の感情も持ち合わせている。
今巻は前巻ではあまり登場しなかった主人公の叔父ならぬ叔母の登場場面も多く、大人としての優しさを見せつけてくれるところも嬉しい。
そして主人公だけではなく主人公をとりまくその他の人物にも焦点を当て、彼らの彼らなりの悩みやそしてそれを受け止めようとするうえでの苦しみなどが無骨ながらも丁寧に描かれていく。
一方でそれまで描かれることのなかった志摩くんの過去を含めたエピソードが少しずつ描かれて、それは主人公と正反対ともいえる状況で、そんな志摩くんに対して主人公はどういう態度をとっていくのか、はたして主人公と志摩くんとの関係は友達のままなのかと、物語の中に大きな一本の柱ができたことでこの先が楽しみになる。

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