前作よりは物語としての要素はあるけれども、しかし不安定だ。
そもそも主人公たちの目的ははっきりしているけれどの主人公自身の目的はそんなところにはなく、己の欲望のままに生きている。まあそこまでならば他の漫画でもそういうことはあるけれども、主人公以外のキャラクターも似たようなもので、まったくバラバラな行動様式を持っているキャラクターたちがなんとなく一つの物語を作っている感じで、読んでいて不安にさせられる。
それでいてその不安で不安定な部分が先の読めない展開に結びついていて面白いのだからやっかいだ。
この巻では榎本俊二の『斬り介とジョニー四百九十九人斬り』のオマージュをしている回が収録されていて、その回のタイトルを見れば、知っている人はああ、あれだと、わかるのだが、ストーリー漫画の一つの回であの漫画のオマージュをしてしまうというところがあなどれないというか、天衣無縫に描いているように見えてしっかりと自覚的に描いていて、この漫画ももう7巻まで来てこの先、どんなふうになっていくのだろう。
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