- 著 片岡 義男
- 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 2009-04-05
片岡義男の短編を読みあさっていた時期がある。もっとも、読みあさっていたといえるほど読んだわけでもなく、どちらかといえば短期間にある程度の本を集中的に読んだだけというほうが近いのだが、時期的には角川文庫から大量に出ていたころだ。
SFとミステリしか興味が無かったのによくもまあ片岡義男に興味を持ったものだとも思うのだが、今にして思えば片岡義男の持つハードボイルドな部分が琴線に触れたせいなのだろうと思う。
『ミス・リグビーの幸福』を最後に読むのは途絶えていて、今回の文庫セレクションも読むつもりは無かったのだけれども、何となく気になって読んでみることにした。書店で手に取ってみるとやはりどこか琴線に触れる部分があったのだ。
久しぶりに読んだ片岡義男の小説の印象は全然変わりが無く、集中的に読んだあの当時と同じだった。
風俗描写はたしかに古びているけれども、しかしそれは些細な部分で、今でも持ち続けている、片岡義男といえば恋愛小説というイメージを吹き飛ばしてしまうほどハードボイルドな世界であり、根底となる部分がこうだからこそ恋愛小説が面白かったのだなあと思わせられた。
それにしても「狙撃者がいる」は凄いなあ。まるでジム・トンプスンなみの話だった。
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