緑の星のオデッセイ

緑の星のオデッセイ (ハヤカワ文庫 SF 5)

  •  フィリップ・ホセ・ファーマー
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 1970-08

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それまでは全然気にもとめていなかったのに、ダン・シモンズの『ハイペリオン』のなかでオマージュの一つとして使われていたことで急に読みたくなったのがフィリップ・ホセ・ファーマーの『緑の星のオデッセイ』。
しかし『ハイペリオン』を読み終えてから『緑の星のオデッセイ』を探して読むまでに14年近くも経っているのだから我ながらのんびりしているなあと思うのだった。
さすがにそれだけの年数が経っていると、何が何でも読みたいという気持ちも薄れ、期待感もそれほど感じなくなっているのが丁度よかった。緑の草原を進む船というイメージは素晴らしいけれども、所詮は娯楽冒険SFであってそれ以上でもそれ以下でもない。
もっとも、だからといって平凡な話かといえば全然そんなことはなく、けっこうひねくれた設定になっていたりするから侮れないのだ。
地球からこの星に不時着し、今では奴隷の身となっている主人公は奥さんも子供もいる。しかし地球へ帰りたいという気持ちは捨てきれず、ある時奥さんと子供を捨て、地球へ帰ろうと画策する……のだが、主人公の奥さんというのがしたたかな女性で、自分を捨てて逃げ出した亭主を追いかけてくるのである。
そして自分を捨てようとしたことに恨み辛みをいうわけでもなく、亭主の身の危機を助けたりするのであるから、読んでいる身としては主人公よりも奥さんの方に肩入れしたくなってくる。
こうなると最後に主人公がどういう決断をするのか予想がつくうえに、期待を裏切らないので驚きの結末という物はないのだが、そのあたりも含めて読後感は非常に良い。

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