死はわが踊り手

死はわが踊り手 (1959年) (世界ミステリシリーズ)

  •  コーネル・ウールリッチ
  • 販売元/出版社 早川書房
  • 発売日 1959

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解説では、巨匠の最新作と書かれており、この本が翻訳された時にはまだウールリッチは存命だったことがずいぶんと時代を感じさせられる。
修道院育ちの踊り子マリーは死の舞踏という踊りの使い手。もっとも死の舞踏といってもそれは言い伝えに過ぎなかったのだが、偶然かそれとも必然か、ある時、マリーの踊りを見た靴磨きの男が死ぬ。
ダンスの最中に死人が出る!という商業ベースにのせられたマリーの踊りは一躍注目の的となるのだが、踊っている間に誰かが死ぬという噂を広めるために死人役のサクラを雇ったにもかかわらず、別な人間が本当に死んでしまう。
晩年の作品にも関わらず題名も、設定も相変わらず素晴らしい。
しかし、ウールリッチの筆運びは、マリーの死の舞踏のという方面には向かわず、マリーの恋の行方の方に向かってしまうのだ。
まあ普通ならばそれでも構わないのだが、いかんせん、死の舞踏という設定は強烈過ぎるので、読む方はどうしてもそっちの方面を期待してしまうのである。
でまあ、結局はいつものウールリッチのパターンどおりの展開で、中盤付近でマリーの恋は成就しマリーの幸せは絶頂期を迎えるのだが、そこから後はひたすら不幸へと一直線。ここまで来れば死の舞踏の謎など、どうでもよくなってくるのが不思議なところで、ウールリッチだなあと満足するのだった。

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