テンペスト

テンペスト  上 若夏の巻

  •  池上 永一
  • 販売元/出版社 角川グループパブリッシング
  • 発売日 2008-08-28

Amazon/bk1/livedoor/楽天ブックス


テンペスト  下 花風の巻

  •  池上 永一
  • 販売元/出版社 角川グループパブリッシング
  • 発売日 2008-08-28

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とてつもない速度の玉を投げるけれどもノーコンのピッチャーが可能な限りコントロールしてどこまでの速度を出せるのかってことに挑戦してみたわけでもないだろうけど、物語をとことんコントロールしてみせてもこんなに面白い話を書くなんて、いったいぜんたいいつの間にこんな力を身につけてしまったのだ池上永一は。
やたらめったら面白いけれども、物語がどこにたどり着くのかさっぱり判らない話は確かに面白いのだけれども、そのむちゃくちゃぶりについていけない時もあって、そこが唯一の不満でもあったのだが、今回は違った。
なんというか全体的に落ち着いているのだ。そして落ち着いているのに面白さは変わらない。今までの欠点を全てなおして改良してみせた感もある。
琉球王朝を舞台に、上巻では男性として生き、下巻では女性として生きる主人公。男女両方の視点から王国を見るという構成もさることながら、史実の中に虚実をおりまぜて、この時代のことなどろくに知らない身でもこんなに楽しめるうえに、上下巻と長い物語でありながらも読んでいる最中は長さを全く感じさせない。
いや、実に面白い話を読んだものだ。

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