パステル都市

『ハローサマー、グッドバイ』の献辞にキース・ロバーツの名前があってキース・ロバーツファンとしては何となくうれしかったのだけれども、そういえばキース・ロバーツの『パヴァーヌ』もラストでSFとしての仕掛けが発露する話だったわけで、『ハローサマー、グッドバイ』のラストのSF的展開に驚いた人は『パヴァーヌ』も読んで驚いてほしいなあと思ったのだが、『パヴァーヌ』も目下絶賛絶版中なんだよなあ。扶桑社で復刊したのはいいけれども、三度目は無さそうなのが非常に残念。
残念といえば……
パステル都市 (1981年) (サンリオSF文庫)

  •  M・ジョン・ハリスン
  • 販売元/出版社 サンリオ
  • 発売日 1981-02

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まるでバラードの「溺れた巨人」みたいな話だった。いや中身がそっくりというわけじゃなくって、この本から受ける印象というかこの本そのものの位置づけみたいなものに対してなんだけど。
舞台は遙か未来の地球で、過去には超科学文明が栄えていたのだが今は滅亡し、遺跡から古の道具を発掘して使っているような状態。スター・ウォーズに登場したライトセーバーのようなエネルギー剣や強化外骨格、飛空挺、そして人型殺戮兵器などなど、何処かで見たような、何処かで読んだようなガジェットの応酬なのだ。
むろん、何処かで見たというのは逆で、後世の小説や映画がこの本に登場するガジェットを使いまくったという方が近い。というわけだから『パステル都市』は後世の物語の血となり肉となっていったのだ。今読めば出涸らしのお茶なみの扱いを受けても仕方がない。
しかし、これだけのガジェットを詰め込んでそして、今となっては多少物足りない部分もあるけれども、それでもワクワクする物語をわずか230ページほどの分量に詰め込まれると参りましたといわざるを得ない。
続編が翻訳されないままなのは残念だなあ。

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