- 著 エリザベス ベア
前嶋 重機 月岡 小穂 - 販売元/出版社 早川書房
- 発売日 2008-05-23
文庫本三冊をまかなっておつりが来るほどのSFネタを注ぎ込みながら、つくづくこちらの期待するところを裏切り続けてくれた本だった。
逆に考えれば、投入されたSFネタのどれか一つに肩入れをするということなく全てを等価に扱いまとめ上げたともいえるわけで、それを考えると並大抵の力量じゃないよなあと思うのだが、しかし三冊も読まされてそんな優等生的な造りの話で終わらされたのでは納得がいかないという部分も確かにある。
そもそも、異星人の宇宙船の到来、しかも二隻同時でなおかつ別の種族同士などというとんでもない状況を作り出しておきながら、まあこれが見事なまでにメインの話に何に絡み合ってこない。異星人が地球の危機を救ってくれるわけではないのだ。
まるで、オレたちゃ小説の中の登場人物じゃなくって現実の世界に生きている人間なんだ。だからこの世界で起こっている出来事は全てが密接に関係し合っているわけじゃなくって互いに無関係な出来事が沢山いっぺんに起こるのさ。とでも言っているかのようでもある。確かにそうだ。
今、私の目の前に宇宙人が現れたとしても、仕事を手伝ってくれたり、悩みを聞いてくれるなんてことはしてくれないだろう。多分、仕事も片づけなければいけないし、宇宙人に対応しなければいけないしで、単に忙しくなるだけだ。
同時多発的にいろいろなことが起こるモジュラー型のSF小説を読んだと思えば別に不満なことなど何もない。


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